大津漁協の永山さん・鈴木さんを支える会

2023年12月22日の裁判での永山さんの意見陳述書全文です。
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意見陳述書

2023(令和5)年12月22日

裁判所民事1部 御中

原告  永 山 孝 生 

 私は原告として、不当解雇に関する訴訟を提起し、今般、結審にあたって、意見陳述をさせていただきます。

1 放射能測定数値の改ざんと解雇理由に関する争点について不当解雇で反論した証拠で明らかになった事がたくさんあります。
 被告の主張は、週刊文春による情報提供に基づくリークが解雇の理由であるとされています。
 しかし、水産試験場の検査結果などの開示請求を通じて得られた情報は、茨城県と大津漁業協同組合が放射能測定数値を改ざんしていたことを示しており、これは食の安全を脅かす不正行為です。
 私が取材に答えた事を理由に解雇したことは、合理的な解雇理由とは言えません。
 また、被告が主張する出荷しないものは公表しないという立場は、私が茨城県農林水産部漁政課の担当者に問い合わせたところ、否定されました。客観的な証拠として挙げられる甲44号証によると、出荷制限中も公表しています。
 よって出荷予定がなかったので公表しなかったという主張は破綻しています。

2 証言に立った坂本善則現専務理事は、益子氏が来ていないと述べ、主張が変更されました。
 しかしながら、やはり私が情報開示請求で入手した文書によると、試験操業の前、大津漁業協同組合は茨城県、漁業者、加工業者と何度も詳細な打ち合わせを行っており、その中で60ベクレルを超える放射性セシウム濃度について問題視する記録が存在しています。大津港が放射能に関して大きな懸念事項を抱えていると発言した記録もあります。
 こうした発言は、公設市場のトップが安心安全を確認し、食べることを勧めた読売新聞掲載の発言(甲54)に矛盾するものといえます。

3 築地市場が10ベクレル以下を条件にしていた実態も明らかになっています。
 これらの議事録を総合的に検討すると、試験操業として築地に出荷するためにはシラス干しの放射性セシウム濃度を10ベクレル以下に制御する必要があった可能性が浮上します。シラス干しの24ベクレルを隠蔽し、最高値を8.5に調整したのも、もしも24ベクレルが公表されていた場合、築地市場がこれを購入しなかった可能性があるからだと思います。

4 虚偽告訴の点についても、石川秀夫元専務理事が有罪判決を受けたことそのものから(甲48)、私が当時疑いを持っていたことに十分な理由があったことが裏付けられていると思います。
 被告は、がんばる漁業と雇用調整助成金の詐欺事件が別の問題であるとの主張をしていますが、私は同事件を含めた多数の不正について指摘してきましたし、そうした多数の不正の中の1つで石川元専務理事が有罪になったくらいですから、私ががんばる漁業の件を疑ったことに間違いはないと思います。令和5年12月5日午前9時、茨城県警察本部捜査第二課から被告に対して水戸地検へ送致した旨の連絡を受けましたので、事件に関する捜査も進展していると期待しています。
 がんばる漁業復興支援事業の旅費規程について、証人尋問において石川秀夫元専務理事は水漁機構からの指示を受けて改正が行われたと証言しましたが、その後私が水漁機構へ照会したところ、水漁機構はそのような指示をすることはないと回答しました。
 石川秀夫元専務理事は偽証していると考えます。

5 私から言わせれば、被告の主張は嘘ばかりです。
 私が坂本善則現専務理事の電話に出ないとの陳述書の内容も、証拠によってすぐに嘘だと証明されましたし、録音反訳書についても録音にない部分を追加しています。証拠に基づいて嘘とわかる点だけでも、このように明白な嘘が存在するのですから、被告の体質は深刻な問題があると思います。

6 私は、今回被告に解雇されたことによって、収入の道が断たれてしまい、大変な苦労をしています。私は、借り入れをしたり、親戚や友人から援助してもらったりしながら何とか生活していますが、住宅ローンの支払いもできなくなり、銀行に支払い条件の変更をしてもらったりしなければなりませんでした。
 人間関係の上でも、今までの友人・知人が疎遠になっていくということが起きました。ただ、これは私に限ったことではなく、親や親戚も同様で、陰口を言われたり、あからさまな嫌がらせを受けることもあったそうです。そんな中、私は、子どもが肩身の狭い思いをするのではないかということも心配でした。
 こうした状況の中、私は、うつ病にもなって病院に通院したこともあります。現在服薬もせずに日常生活を送れているのは、周囲の支え・激励があってこそです。

7 食の安全を守り、消費者に安心を与えるためにも、公設市場を運営する大津漁協の不正の体質を刷新することが必要だと思います。私が復職できるような職場かどうか、という点が大津漁協が変わったかどうかのメルクマールだと思いますし、私は復職して、信頼される漁協にするために力を尽くしたいと思います。
 裁判所におかれましては、どうぞ公正な判断をお願いいたします。

以上